2022上半期マイベスト25
【2022上半期マイベスト25】
羊文学「光るとき」
Official 髭男 dism「ミックスナッツ」
山内総一郎「白」
崎山蒼志「舟を漕ぐ」
水曜日のカンパネラ「織姫」
リーガルリリー「教室のドアの向こう」
三浦大知「燦々」
マハラージャン「君の歯ブラシ」
アイナ・ジ・エンド「大人になって」
Omoinotake「心音」
【2022上半期マイベスト25②】
sumika「アンコール」
日食なつこ「うつろぶね」
Sundae May Club「少年漫画」
SHE'S「Blue Thermal」
ポルカドットスティングレイ「hide and seek」
YAJICO GIRL「VIDEO BOY」
米津玄師「POP SONG」
Penthouse「流星群」
新東京「Morning」
Creepy Nuts, 幾田りら「ばかまじめ」
【2022上半期マイベスト25③】
mol-74「鱗」
さとうもか「舟」
ジェニーハイ「エクレール」
ズカイ「酸素」
BTS「Yet To Come」
今年の上半期は本当にいい曲だらけで、ベスト10にするはずが絞りきれずベスト25になってしまった。年末大丈夫かな。あと、今年は昨年以前に比べて幅広く音楽を聴こうとしてみましたというご報告です。
羊文学「光るとき」
いい曲揃いな中でも群を抜いて素晴らしいのが、この曲。それはメロディーや歌詞の秀逸さに加えて、今、この時代に誕生すべき曲であったからという側面も大きい。平家物語のアニメは見ていないが、海の薫りや潮風の肌触りすら感じさせるサウンドは圧巻だし、「最終回のストーリーは初めから決まっていたとしても今だけはここにあるよ」「最終回のその後も誰かが君の生きた記憶を語り継ぐでしょう」という歌詞は、歴史物語の醍醐味を凝縮している。さらに特筆すべきは、「何回だって言うよ 世界は美しいよ 君がそれを諦めないからだよ」という歌詞と力強い演奏を繰り返すその構成。「永遠なんてないとしたらこの最悪な時代もきっと続かないでしょう」という歌詞も含め、平家物語の世界だけでなく、まさしく今この時代を生きる全ての人に寄り添うものとなっている。コロナの第3波に始まり、ウクライナ侵攻、物価高......。暗鬱となるようなニュースが世相を覆った2022年上半期。そんな時だからこそ、リスナーの心を打つものとしてのこの曲の魅力には筆舌に尽くしがたいものがある。羊文学の今年のアルバム「our hope」は他にも名曲揃いで、本当は「OOPARTS」も選出したかった。
Official 髭男 dism「ミックスナッツ」
星野源の「喜劇」がとりあげられることも多いが、個人的にはこちらを取り上げたい。まず、「あれ、聴く曲間違えたかな」とも思わせるゴリゴリのイントロ。「何が始まるんだ??」とワクワク感を誘う。そこからAメロに移る前の音、めちゃくちゃナッツ感。この音が随所に使われている。そしてAメロで一気に視界が開けたようにスイングジャズ的になる。ラスサビへの移行もめちゃめちゃ気持ちいい。まさに、メロディー自体が「ミックス」「ナッツ」である。ヒゲダン、どれだけ引き出しあるんだ......と頭を抱えざるを得ない。曲構成からしても、まさしく珠玉の「エンターテイナー」であることを改めて実感させられる。純粋に聴いていて楽しいし、1曲で満足感が得られる。すごい。そして、歌詞についても、SPY FAMILYについて詳しくは知らないが、ミックスナッツを複雑な家庭構成に喩えるというその発想も見事。
山内総一郎「白」
若干贔屓目な選出かもしれないが、これこそがまさに「歌」だよなあと、原点に却ったような気分になった。長い月日を経て赤裸々に語られる故・志村への真っ直ぐな思い。一言一言に重みがあって、山内の人生を、フジファブリックの歴史を追体験しているような気分になる。サウンドも含めてどこまでもまっすぐで嘘がなく、丁寧に丁寧に作られているからこそ、聴いているだけで思わず心が揺さぶられ、胸が締め付けられる。ライブで初めて聴いたとき、そしてリリース後も暫くは涙なしでは聴けなかったし、今でもやはり聴くたびに泣きそうになる。シンプルなんだけど、"フジファブリックっぽさ"も端々に感じるという不思議な曲でもある。山内がフジファブリックの一番のファンであるということ、そして今後もそのフジファブリックを引っ張っていくんだという決意をも力強く物語る一曲。
崎山蒼志「舟を漕ぐ」
出だしがすごく染み入る音色で、思わず涙が出る。そんなところに「涙が出る」という歌詞がオーバーラップする。大自然の中、湖畔でゆったりゆったり、本当に舟を漕いでいるかのような感覚に陥る。ギターとハイハットの音が時々、水がぴちゃぴちゃと飛沫を上げて跳ねる音のようにも聞こえる。どこか懐かしさや癒しを与えてくれつつも、前へ一歩一歩進んでいくべく背中を押してくれるような一曲。長いアウトロも非常に美しく聴き飽きない。彼の今年のアルバム「Face To Time Case」は名曲揃いであるが、その1曲目を見事に飾る。崎山蒼志といえば五月雨の鮮烈なデビューが印象に新しいが、改めて崎山蒼志ここにあり、ということを示したのではないか。
水曜日のカンパネラ「織姫」
織姫がギャルというぶっ飛んだ設定をも忠実に再現する秀逸なリリックとボーカル。七夕のきらびやかな雰囲気を醸し出すトラック。それらがすっきりとまとまって、一体として非常に耳馴染みがよく中毒性の高い楽曲となっている。冷静に歌詞を読んではいけない。なんだよ「彦星 oh yes」って......。でも、「慎ましやかだったあなたはどこにいってしまわれたのでしょう」などと織姫の切ない心情や苛立ちをも見事に描写していて、どこか親近感さえ感じる。とにかく、この歌の「織姫」は「生きている」という感じがすごくするのである。新たな水曜日のカンパネラのエッセンスが詰まっていると感じる。
リーガルリリー「教室のドアの向こう」
今年の彼女らのアルバム「Cとし生けるもの」はいい曲がありすぎて本当にどの曲を選ぶか迷ったが、この曲を選んだ。ちなみに「たたかわないらいおん」「セイントアンガー」とはだいぶ迷った。しかし、最終的にこの曲を選んだのは、「教室」「人身事故」「親愛」「早退」といった素材を取り合わせることによって、そして高校生の頃に作った部分と大人になってから作った部分とを組み合わせ、両者の視点から「あなたの泣いてる黒い場所」を対照的に描くことによって、思春期の憂鬱や苦悩や絶望にうっすらと希望を浮かび上がらせているようであり、こういう曲こそが本当の意味でひとの心に「寄り添う」曲だと思ったからだ。
とにかく彼女らの今回のアルバムでは、そのタイトル通り「生きる」ということについて確かに歌われている。きっと救われる人も多くいるのだろうと思う。
三浦大知「燦々」
いや、ここ最近の朝ドラ主題歌よすぎませんか。。。朝ドラは見てないんですけど。息を呑むような圧巻の美しさとはまさにこのこと。ただただ、とにかく美しい。郷里とか、思い出とか、みんなこの上なく美しいですもんね。歌詞に「。」が多用されているのも、なんだか手紙のようで心があたたまる。「燦々」というタイトルや沖縄という舞台にもフィットする、太陽の感じはありつつも、しかしそれは決してギラギラしたものではなく、眩い希望の光といった感じである。一流アーティストの格を見せつけるような一曲。
マハラージャン「君の歯ブラシ」
誰がこんな気持ち悪く、かつ洗練された曲を作れるだろうか。そもそも同じタイトルで曲を作れと言われてもこんな曲は他では出てこないだろう。サビの「君のは、は、は、歯ブラシで~み、み、み、みがくよべ~んき♪」とか、やばすぎる。頭のネジが何本も抜けている感じがする。しかし思わず何度も聴きたくなるようなクセになるメロディーで、中毒性はピカイチ。トイレ掃除をしているときに、不意に口ずさんでしまいそうであるが、そのぶんトイレ掃除は捗りそうである。ただ、実際に「君の歯ブラシ」でトイレ掃除をしたときにこの曲を口ずさめば、たちまち虚しさに襲われることとなるだろう。聴き終わったとき、そんな虚しささえリスナーに感じさせる一曲である。
アイナ・ジ・エンド「大人になって」
この曲の持つパワーを前にすると、あまり余計なことを書く気にはならないのだが、「私はやっと今日を繋ぎ合わせる」という部分に象徴されるように思春期の憂鬱や葛藤を完璧に描ききった曲だと思う。アイナの独特のハスキーボイスが、繰り返される「なんで」という叫びを切実に響かせる。そして、最後「15歳で全てわかったふりをしてさ」という、一見冷たいようにも思えるアイナなりの回答が語られ、続きがあるような雰囲気を残しながら曲が終わる。タイトル「大人になって」から考えると、これがアイナなりの、悩める子供たちへのメッセージなのだろう。それが歌という形になることで、誰かの心の中できっと響くのだろうということを確信する。
Omoinotake「心音」
純粋にいい曲ですよね。独特ながらちょっとジャジーでセンス溢れるメロディーライン。それが人間らしさや多幸感を演出している。「とくとくと」という言葉のチョイスも、その部分の音程もすごくいい。2番でサビにはいかずCメロを挟むのもすごく裏切られた感じで面白い。歌詞も「愛」というものを優しく丁寧に描いていて、聴いているだけで心があたたまる。
sumika「アンコール」
sumikaによる珠玉の失恋ソング。「平凡な僕には釣り合わないほど自慢の愛しい君でした」という歌詞が何とも言えず切ない。切なすぎる。sumikaの曲って一点の曇りもないからこそ、リスナーに刺さるんだと思うんですよね。メロディー自体は割とオーソドックスな、いわゆる「グッドミュージック」なんだけど、聴けば一発でsumikaだと分かるオリジナリティもちゃんとそこにある。すごいですよね。サビで一気に盛り上がるからそこで涙腺が崩壊する感覚に陥りますね。この歌の主人公の女々しさとか、真面目さとか、なんかもうそういうところ諸々に共感しまくってしまう。そして辛くなってしまう。流石です。。。
日食なつこ「うつろぶね」
海賊船感のあるワクワクするイントロ→Aメロ。そして、日食なつこのかっこいいボーカルもばちばちに冴え渡る。なんだか冒険して遭難したかのような感覚に引きずり込む演奏全体が本当に秀逸。実は日食なつこも鬼滅の主題歌に向いてると個人的に思っている。
Sundae May Club「少年漫画」
元気溢れる、しかしどこか憂鬱も感じる青春感に溢れる一曲。「ねえ 階段を降りれば真っ黒な青春もいつか報われる」という出だしの一節はとてつもなく力強い名フレーズだと思う。曲調も相俟って、ほんとうにそんな気がしてくる。サンデメの魅力は、「ウルトラスーパーポップバンド」を自称しつつ、その「ポップ」の裏返しとしての憂鬱まで丁寧に描ききっているというところにあると思う。そうであるからこそ、「最低な瞬間を覆してみせよう 世界だって変えられる ふたりなら変えられる」みたいな歌詞だって、力強く説得力をもって響くのだと思う。
SHE'S「Blue Thermal」
とにかく晴天の青空にこれ以上になく良く似合う曲。透明度が高すぎる。なにこれ。身体が宙に浮いてどこまでも飛んでいけそうな気がする。クラップが曲中に取り込まれているのも、コロナ禍のライブが意識されていてよい。武道館ライブを前に発表されたこの曲。「夢のような場所が今僕らの居場所に変わる」「あなたを連れて行くよ」という歌詞には苦しみつつ規模を広げてきた今の彼らの思いと今後への決意さえ感じる。
ポルカドットスティングレイ「hide and seek」
彼女らに対するイメージは「エレクトリック・パブリック」とか「テレキャスター・ストライプ」の頃から更新されていなかったので、久々に聴いてその変貌ぶりにまず驚愕した。そして、HIPHOPとしての曲の完成度にも驚愕した。いい意味で世界のトレンドを踏まえており、グローバルを視野にいれた曲なのではないかと思わざるを得ない。途中で唐突にメタル系のサウンドが入るのもめちゃくちゃよい。サビもまさかのフランス語登場。なかなか3言語登場する曲というのも珍しいのでは??しかし思わず口ずさみたくなるメロディー。埋もれているのは勿体ない。是非とも陽の目を浴びてほしい楽曲。
YAJICO GIRL「VIDEO BOY」
彼らも、未確認フェスティバルの「いえろう」の印象が強いが、今作はなかなか面白いサウンドメイクに挑戦している。不思議な音がいっぱい使われていて、それが「アナログ」な感じをとてもうまく表現している。今の20代は「ビデオカセット」の記憶がある最後の世代だと思うが、それをテーマに「忘れないで 忘れないで」と言われると、懐かしい記憶が甦って感傷的になってしまう。隠れた名曲だと思う。
米津玄師「POP SONG」
西部劇みたいなメロディーが愉快で面白い曲。米津の曲は、細部の音への拘りがほんとうにすごいなあと思う。これを聴けばすべてどうでも良くなって楽しい気分になれる。まさに「POP SONG」である。米津といえば結構暗さを抱えた曲が多いイメージもあるが、こんな曲も出てくるのか...とも思った。
Penthouse「流星群」
今後大ヒットすること間違いなしのグループ。男女ツインボーカルって需要の割に供給が少ないと思っていて、近年で言えばAwesome City Clubが頭角を現したくらい。そしてこういうソウルっぽい曲も近年のJ-POPシーンでは後退ぎみにあった。だからまさにレッドオーシャンを突いているのである。また、2人のボーカルはべらぼうに上手く、詞もメロディーも確実に万人受けする。おまけに「東大発」というキャッチコピーもある。それが追い風となるのは、彼らの英語の発音含め圧倒的な実力が伴っているからである。末恐ろしいグループである。
新東京「Morning」
こちらも今後への期待大である。イントロが痺れるほどにかっこいい。その後のメロディーで思わず恋に落ちてしまう。メロディーの心地よさに涎が垂れてきてしまいそうなほどうっとりしてしまう。演奏のテクニック的な面でも圧倒される。とんでもない一曲なので、ぜひ聴いてみて欲しい。
Creepy Nuts, 幾田りら「ばかまじめ」
まさに夢のようなコラボである。The First Takeの影響なのか何なのか、近年はアーティスト間のコラボ楽曲が増えてきてすごくいい傾向だなと思う。結構優等生的なメロディーな気もするが、確実にボルテージは上がる。そういう意味で、この曲のターゲットとする層には確実に届く曲になっているなという印象を受けた。
mol-74「鱗」
モルカルらしい落ち着くメロディー。水底深くに沈んでいっているような感覚になる。ハイハットとベースが吐き出した泡のように思える。「サイズ違いの理想像を剥がして」「裸の思いが似合いますように」という歌詞が、タイトルとの関係でめちゃくちゃよい。
さとうもか「舟」
なんか今回フネの曲がやたら多い気がする。何でだろう。さとうもかの失恋ソングはどれもしんみりさせられるのだけれど、この曲は特にすごい。海に浮かぶちっぽけな舟を想像してこの曲を聞いたとき、失恋というものが、長い人生の中での些細で、しかし大きな出来事であるという残酷さを実感させられて、途方もなく切ない気持ちになってしまう。そしてやはりさとうもかのエモーショナルな歌声は唯一無二だと思う。最後に波打ち際の音が入るのも切なさを引き立ててとてもよい。この曲を聴きながら海岸をとぼとぼ歩きたい。
ジェニーハイ「エクレール」
単純に楽しく愉快でかわいい曲ですよね。「クランベリークランチ」の音程とか面白い。二人の女性ボーカルがポップな楽曲とすごくマッチしていて、不思議な雰囲気を醸し出すのにも一役買っている。ところどころうまく弦楽器の音が使われていて、さすが川谷絵音という感じ。
ズカイ「酸素」
とっっても優しい曲。「オレとお前をおんなじ物差しで語んなよ」とかすごくいい歌詞。みんなこの曲聞いたら穏やかになれるんじゃないだろうか。最後の部分を聴き終えてこの曲のタイトルを改めて見返すと、「酸素」。すごくいいと思う(語彙力)。
BTS「Yet To Come」
色々ありましたね。普段全くK-POPは聴かないのですが、今年は聴く音楽の範囲を広げてみようと思っていたところでした。今になってこの曲を聴くとなんか色々と思うところがあるというか、ファンとしてはとても複雑な気持ちになるんだろうなあと思いました。そういうことを抜きにしていい曲ですよね。日本ではこういう曲は生まれてこなさそうだなあ...。
羊文学「光るとき」
Official 髭男 dism「ミックスナッツ」
山内総一郎「白」
崎山蒼志「舟を漕ぐ」
水曜日のカンパネラ「織姫」
リーガルリリー「教室のドアの向こう」
三浦大知「燦々」
マハラージャン「君の歯ブラシ」
アイナ・ジ・エンド「大人になって」
Omoinotake「心音」
【2022上半期マイベスト25②】
sumika「アンコール」
日食なつこ「うつろぶね」
Sundae May Club「少年漫画」
SHE'S「Blue Thermal」
ポルカドットスティングレイ「hide and seek」
YAJICO GIRL「VIDEO BOY」
米津玄師「POP SONG」
Penthouse「流星群」
新東京「Morning」
Creepy Nuts, 幾田りら「ばかまじめ」
【2022上半期マイベスト25③】
mol-74「鱗」
さとうもか「舟」
ジェニーハイ「エクレール」
ズカイ「酸素」
BTS「Yet To Come」
今年の上半期は本当にいい曲だらけで、ベスト10にするはずが絞りきれずベスト25になってしまった。年末大丈夫かな。あと、今年は昨年以前に比べて幅広く音楽を聴こうとしてみましたというご報告です。
羊文学「光るとき」
いい曲揃いな中でも群を抜いて素晴らしいのが、この曲。それはメロディーや歌詞の秀逸さに加えて、今、この時代に誕生すべき曲であったからという側面も大きい。平家物語のアニメは見ていないが、海の薫りや潮風の肌触りすら感じさせるサウンドは圧巻だし、「最終回のストーリーは初めから決まっていたとしても今だけはここにあるよ」「最終回のその後も誰かが君の生きた記憶を語り継ぐでしょう」という歌詞は、歴史物語の醍醐味を凝縮している。さらに特筆すべきは、「何回だって言うよ 世界は美しいよ 君がそれを諦めないからだよ」という歌詞と力強い演奏を繰り返すその構成。「永遠なんてないとしたらこの最悪な時代もきっと続かないでしょう」という歌詞も含め、平家物語の世界だけでなく、まさしく今この時代を生きる全ての人に寄り添うものとなっている。コロナの第3波に始まり、ウクライナ侵攻、物価高......。暗鬱となるようなニュースが世相を覆った2022年上半期。そんな時だからこそ、リスナーの心を打つものとしてのこの曲の魅力には筆舌に尽くしがたいものがある。羊文学の今年のアルバム「our hope」は他にも名曲揃いで、本当は「OOPARTS」も選出したかった。
Official 髭男 dism「ミックスナッツ」
星野源の「喜劇」がとりあげられることも多いが、個人的にはこちらを取り上げたい。まず、「あれ、聴く曲間違えたかな」とも思わせるゴリゴリのイントロ。「何が始まるんだ??」とワクワク感を誘う。そこからAメロに移る前の音、めちゃくちゃナッツ感。この音が随所に使われている。そしてAメロで一気に視界が開けたようにスイングジャズ的になる。ラスサビへの移行もめちゃめちゃ気持ちいい。まさに、メロディー自体が「ミックス」「ナッツ」である。ヒゲダン、どれだけ引き出しあるんだ......と頭を抱えざるを得ない。曲構成からしても、まさしく珠玉の「エンターテイナー」であることを改めて実感させられる。純粋に聴いていて楽しいし、1曲で満足感が得られる。すごい。そして、歌詞についても、SPY FAMILYについて詳しくは知らないが、ミックスナッツを複雑な家庭構成に喩えるというその発想も見事。
山内総一郎「白」
若干贔屓目な選出かもしれないが、これこそがまさに「歌」だよなあと、原点に却ったような気分になった。長い月日を経て赤裸々に語られる故・志村への真っ直ぐな思い。一言一言に重みがあって、山内の人生を、フジファブリックの歴史を追体験しているような気分になる。サウンドも含めてどこまでもまっすぐで嘘がなく、丁寧に丁寧に作られているからこそ、聴いているだけで思わず心が揺さぶられ、胸が締め付けられる。ライブで初めて聴いたとき、そしてリリース後も暫くは涙なしでは聴けなかったし、今でもやはり聴くたびに泣きそうになる。シンプルなんだけど、"フジファブリックっぽさ"も端々に感じるという不思議な曲でもある。山内がフジファブリックの一番のファンであるということ、そして今後もそのフジファブリックを引っ張っていくんだという決意をも力強く物語る一曲。
崎山蒼志「舟を漕ぐ」
出だしがすごく染み入る音色で、思わず涙が出る。そんなところに「涙が出る」という歌詞がオーバーラップする。大自然の中、湖畔でゆったりゆったり、本当に舟を漕いでいるかのような感覚に陥る。ギターとハイハットの音が時々、水がぴちゃぴちゃと飛沫を上げて跳ねる音のようにも聞こえる。どこか懐かしさや癒しを与えてくれつつも、前へ一歩一歩進んでいくべく背中を押してくれるような一曲。長いアウトロも非常に美しく聴き飽きない。彼の今年のアルバム「Face To Time Case」は名曲揃いであるが、その1曲目を見事に飾る。崎山蒼志といえば五月雨の鮮烈なデビューが印象に新しいが、改めて崎山蒼志ここにあり、ということを示したのではないか。
水曜日のカンパネラ「織姫」
織姫がギャルというぶっ飛んだ設定をも忠実に再現する秀逸なリリックとボーカル。七夕のきらびやかな雰囲気を醸し出すトラック。それらがすっきりとまとまって、一体として非常に耳馴染みがよく中毒性の高い楽曲となっている。冷静に歌詞を読んではいけない。なんだよ「彦星 oh yes」って......。でも、「慎ましやかだったあなたはどこにいってしまわれたのでしょう」などと織姫の切ない心情や苛立ちをも見事に描写していて、どこか親近感さえ感じる。とにかく、この歌の「織姫」は「生きている」という感じがすごくするのである。新たな水曜日のカンパネラのエッセンスが詰まっていると感じる。
リーガルリリー「教室のドアの向こう」
今年の彼女らのアルバム「Cとし生けるもの」はいい曲がありすぎて本当にどの曲を選ぶか迷ったが、この曲を選んだ。ちなみに「たたかわないらいおん」「セイントアンガー」とはだいぶ迷った。しかし、最終的にこの曲を選んだのは、「教室」「人身事故」「親愛」「早退」といった素材を取り合わせることによって、そして高校生の頃に作った部分と大人になってから作った部分とを組み合わせ、両者の視点から「あなたの泣いてる黒い場所」を対照的に描くことによって、思春期の憂鬱や苦悩や絶望にうっすらと希望を浮かび上がらせているようであり、こういう曲こそが本当の意味でひとの心に「寄り添う」曲だと思ったからだ。
とにかく彼女らの今回のアルバムでは、そのタイトル通り「生きる」ということについて確かに歌われている。きっと救われる人も多くいるのだろうと思う。
三浦大知「燦々」
いや、ここ最近の朝ドラ主題歌よすぎませんか。。。朝ドラは見てないんですけど。息を呑むような圧巻の美しさとはまさにこのこと。ただただ、とにかく美しい。郷里とか、思い出とか、みんなこの上なく美しいですもんね。歌詞に「。」が多用されているのも、なんだか手紙のようで心があたたまる。「燦々」というタイトルや沖縄という舞台にもフィットする、太陽の感じはありつつも、しかしそれは決してギラギラしたものではなく、眩い希望の光といった感じである。一流アーティストの格を見せつけるような一曲。
マハラージャン「君の歯ブラシ」
誰がこんな気持ち悪く、かつ洗練された曲を作れるだろうか。そもそも同じタイトルで曲を作れと言われてもこんな曲は他では出てこないだろう。サビの「君のは、は、は、歯ブラシで~み、み、み、みがくよべ~んき♪」とか、やばすぎる。頭のネジが何本も抜けている感じがする。しかし思わず何度も聴きたくなるようなクセになるメロディーで、中毒性はピカイチ。トイレ掃除をしているときに、不意に口ずさんでしまいそうであるが、そのぶんトイレ掃除は捗りそうである。ただ、実際に「君の歯ブラシ」でトイレ掃除をしたときにこの曲を口ずさめば、たちまち虚しさに襲われることとなるだろう。聴き終わったとき、そんな虚しささえリスナーに感じさせる一曲である。
アイナ・ジ・エンド「大人になって」
この曲の持つパワーを前にすると、あまり余計なことを書く気にはならないのだが、「私はやっと今日を繋ぎ合わせる」という部分に象徴されるように思春期の憂鬱や葛藤を完璧に描ききった曲だと思う。アイナの独特のハスキーボイスが、繰り返される「なんで」という叫びを切実に響かせる。そして、最後「15歳で全てわかったふりをしてさ」という、一見冷たいようにも思えるアイナなりの回答が語られ、続きがあるような雰囲気を残しながら曲が終わる。タイトル「大人になって」から考えると、これがアイナなりの、悩める子供たちへのメッセージなのだろう。それが歌という形になることで、誰かの心の中できっと響くのだろうということを確信する。
Omoinotake「心音」
純粋にいい曲ですよね。独特ながらちょっとジャジーでセンス溢れるメロディーライン。それが人間らしさや多幸感を演出している。「とくとくと」という言葉のチョイスも、その部分の音程もすごくいい。2番でサビにはいかずCメロを挟むのもすごく裏切られた感じで面白い。歌詞も「愛」というものを優しく丁寧に描いていて、聴いているだけで心があたたまる。
sumika「アンコール」
sumikaによる珠玉の失恋ソング。「平凡な僕には釣り合わないほど自慢の愛しい君でした」という歌詞が何とも言えず切ない。切なすぎる。sumikaの曲って一点の曇りもないからこそ、リスナーに刺さるんだと思うんですよね。メロディー自体は割とオーソドックスな、いわゆる「グッドミュージック」なんだけど、聴けば一発でsumikaだと分かるオリジナリティもちゃんとそこにある。すごいですよね。サビで一気に盛り上がるからそこで涙腺が崩壊する感覚に陥りますね。この歌の主人公の女々しさとか、真面目さとか、なんかもうそういうところ諸々に共感しまくってしまう。そして辛くなってしまう。流石です。。。
日食なつこ「うつろぶね」
海賊船感のあるワクワクするイントロ→Aメロ。そして、日食なつこのかっこいいボーカルもばちばちに冴え渡る。なんだか冒険して遭難したかのような感覚に引きずり込む演奏全体が本当に秀逸。実は日食なつこも鬼滅の主題歌に向いてると個人的に思っている。
Sundae May Club「少年漫画」
元気溢れる、しかしどこか憂鬱も感じる青春感に溢れる一曲。「ねえ 階段を降りれば真っ黒な青春もいつか報われる」という出だしの一節はとてつもなく力強い名フレーズだと思う。曲調も相俟って、ほんとうにそんな気がしてくる。サンデメの魅力は、「ウルトラスーパーポップバンド」を自称しつつ、その「ポップ」の裏返しとしての憂鬱まで丁寧に描ききっているというところにあると思う。そうであるからこそ、「最低な瞬間を覆してみせよう 世界だって変えられる ふたりなら変えられる」みたいな歌詞だって、力強く説得力をもって響くのだと思う。
SHE'S「Blue Thermal」
とにかく晴天の青空にこれ以上になく良く似合う曲。透明度が高すぎる。なにこれ。身体が宙に浮いてどこまでも飛んでいけそうな気がする。クラップが曲中に取り込まれているのも、コロナ禍のライブが意識されていてよい。武道館ライブを前に発表されたこの曲。「夢のような場所が今僕らの居場所に変わる」「あなたを連れて行くよ」という歌詞には苦しみつつ規模を広げてきた今の彼らの思いと今後への決意さえ感じる。
ポルカドットスティングレイ「hide and seek」
彼女らに対するイメージは「エレクトリック・パブリック」とか「テレキャスター・ストライプ」の頃から更新されていなかったので、久々に聴いてその変貌ぶりにまず驚愕した。そして、HIPHOPとしての曲の完成度にも驚愕した。いい意味で世界のトレンドを踏まえており、グローバルを視野にいれた曲なのではないかと思わざるを得ない。途中で唐突にメタル系のサウンドが入るのもめちゃくちゃよい。サビもまさかのフランス語登場。なかなか3言語登場する曲というのも珍しいのでは??しかし思わず口ずさみたくなるメロディー。埋もれているのは勿体ない。是非とも陽の目を浴びてほしい楽曲。
YAJICO GIRL「VIDEO BOY」
彼らも、未確認フェスティバルの「いえろう」の印象が強いが、今作はなかなか面白いサウンドメイクに挑戦している。不思議な音がいっぱい使われていて、それが「アナログ」な感じをとてもうまく表現している。今の20代は「ビデオカセット」の記憶がある最後の世代だと思うが、それをテーマに「忘れないで 忘れないで」と言われると、懐かしい記憶が甦って感傷的になってしまう。隠れた名曲だと思う。
米津玄師「POP SONG」
西部劇みたいなメロディーが愉快で面白い曲。米津の曲は、細部の音への拘りがほんとうにすごいなあと思う。これを聴けばすべてどうでも良くなって楽しい気分になれる。まさに「POP SONG」である。米津といえば結構暗さを抱えた曲が多いイメージもあるが、こんな曲も出てくるのか...とも思った。
Penthouse「流星群」
今後大ヒットすること間違いなしのグループ。男女ツインボーカルって需要の割に供給が少ないと思っていて、近年で言えばAwesome City Clubが頭角を現したくらい。そしてこういうソウルっぽい曲も近年のJ-POPシーンでは後退ぎみにあった。だからまさにレッドオーシャンを突いているのである。また、2人のボーカルはべらぼうに上手く、詞もメロディーも確実に万人受けする。おまけに「東大発」というキャッチコピーもある。それが追い風となるのは、彼らの英語の発音含め圧倒的な実力が伴っているからである。末恐ろしいグループである。
新東京「Morning」
こちらも今後への期待大である。イントロが痺れるほどにかっこいい。その後のメロディーで思わず恋に落ちてしまう。メロディーの心地よさに涎が垂れてきてしまいそうなほどうっとりしてしまう。演奏のテクニック的な面でも圧倒される。とんでもない一曲なので、ぜひ聴いてみて欲しい。
Creepy Nuts, 幾田りら「ばかまじめ」
まさに夢のようなコラボである。The First Takeの影響なのか何なのか、近年はアーティスト間のコラボ楽曲が増えてきてすごくいい傾向だなと思う。結構優等生的なメロディーな気もするが、確実にボルテージは上がる。そういう意味で、この曲のターゲットとする層には確実に届く曲になっているなという印象を受けた。
mol-74「鱗」
モルカルらしい落ち着くメロディー。水底深くに沈んでいっているような感覚になる。ハイハットとベースが吐き出した泡のように思える。「サイズ違いの理想像を剥がして」「裸の思いが似合いますように」という歌詞が、タイトルとの関係でめちゃくちゃよい。
さとうもか「舟」
なんか今回フネの曲がやたら多い気がする。何でだろう。さとうもかの失恋ソングはどれもしんみりさせられるのだけれど、この曲は特にすごい。海に浮かぶちっぽけな舟を想像してこの曲を聞いたとき、失恋というものが、長い人生の中での些細で、しかし大きな出来事であるという残酷さを実感させられて、途方もなく切ない気持ちになってしまう。そしてやはりさとうもかのエモーショナルな歌声は唯一無二だと思う。最後に波打ち際の音が入るのも切なさを引き立ててとてもよい。この曲を聴きながら海岸をとぼとぼ歩きたい。
ジェニーハイ「エクレール」
単純に楽しく愉快でかわいい曲ですよね。「クランベリークランチ」の音程とか面白い。二人の女性ボーカルがポップな楽曲とすごくマッチしていて、不思議な雰囲気を醸し出すのにも一役買っている。ところどころうまく弦楽器の音が使われていて、さすが川谷絵音という感じ。
ズカイ「酸素」
とっっても優しい曲。「オレとお前をおんなじ物差しで語んなよ」とかすごくいい歌詞。みんなこの曲聞いたら穏やかになれるんじゃないだろうか。最後の部分を聴き終えてこの曲のタイトルを改めて見返すと、「酸素」。すごくいいと思う(語彙力)。
BTS「Yet To Come」
色々ありましたね。普段全くK-POPは聴かないのですが、今年は聴く音楽の範囲を広げてみようと思っていたところでした。今になってこの曲を聴くとなんか色々と思うところがあるというか、ファンとしてはとても複雑な気持ちになるんだろうなあと思いました。そういうことを抜きにしていい曲ですよね。日本ではこういう曲は生まれてこなさそうだなあ...。
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